ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

手の中にマタニティマークを固く握り締め、とぼとぼと歩道を歩き出す。

頭の中では、さっき聞いた会話がぐるんぐるん反響してる。


奥さんの妊娠中に、浮気……男の事情?


確かに……彼、私に触れてこない。
マンションに戻ってから……ほとんど。

セックスも、してない。

私の身体に負担をかけないようにっていう、配慮だと思うけど。

確かに前からそういう……性欲は強い人だったし。
もしかして、欲求不満だったとか?
それで……


いやいやいや。


だからって、他の女性となんて。
ライアンに限ってそんなこと!

頭の中で一生懸命否定するんだけど、一方で……チラチラと見え隠れする、不穏な影を意識してしまう。


――そうしたらご主人ね、『最初からそんなに子どもが欲しいわけじゃなかった』って、開き直っちゃったんですって。


そういえば、私……聞いたことなかった。
ライアンに、子どもが欲しいかどうか。

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