ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

妊娠して、嬉しくて。
彼も喜んでくれてるって、信じ込んでて。
何も疑問に思わなかった。


――自分が父親になるとか……考えたことなかったなと思って。


あのセリフを聞いたのは、いつだっただろう。


彼の出生は、確かに特殊だ。
実のご両親を知らず、最初の養父はマフィアで。

もしかしたらそのせいで……
私の考える家族像と彼のそれが、ズレてるって可能性はある?

プロポーズされた時、もっとしっかり確認しておくべきだった?


もしかして、彼は……


急に、お腹が張ったような気がした。

キミも、不安なの?


ごめんね、大丈夫。
大丈夫だよ。心配しなくていいの。
きっと、ただの気のせいだから。

「気のせい、だよね」
お腹に触れて、つぶやいた。


「真杉?」


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