ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「田所さん、カメラマンは?」

拓巳さんが振り向いた先には、息せき切って駆けてくる田所さん。

「大丈夫。矢倉さん、撮影先から急行するって。あと30分くらいで着く」
「よし、じゃあ30分で準備しよう」

「お、間に合ったな!」
「飛鳥ぁ! よかったぁ!」
「飛鳥ちゃーん、きよかも来たよー!」

その後ろから、涼音ちゃんを抱っこした坂田と、清香ちゃんの手を引いた美弥子が続いて、もう開いた口がふさがらない。

「ちょ、ねえ……ライアン、あの――」

「ドリンク持ってきたんだけど、どうすればいいかしら?」

顔をのぞかせた柴田さん、もとい大河原夫人へ、どこから現れたのか、マリーさんが「では隣の集会所へお願いします」と誘導を始める。

「ベルナードさんが、ホテルの方に誰か寄越せないかと言ってるが。料理を運んでくれる奴が欲しいそうなんだ」

レアなポロシャツ姿の大河原さんが携帯片手に言えば。

「はいはーい! あたしとハルくんで行きまーっす!」

ラムちゃんと樋口さん(無敵のペアルックTシャツ着用)が、仲よく手を挙げる。

そうこうする間に、主に拓巳さんとマリーさんがテキパキと指示を出し、
みんながわらわらと動き始め。
なぜか隣の集会所で、パーティーが始まるようなんだけど……

< 380 / 394 >

この作品をシェア

pagetop