ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「ら、ライアン、これどういうこと?」
どう見ても、みんないきなり呼び出されましたって感じよね。
思いっきり普段着だし?
「まさか……本当に全員、来てくれるとは思わなくて」
つぶやくように言った彼は、照れ隠しみたいに口元を片手で覆う。
チラリと金髪の隙間から見えるのは、紅く染まった耳だ。
……うん。
本当ね。
土曜の午後、きっとそれぞれ予定があったに違いないのに。
汗だくで駆けつけてくれて――私たちのために。
「花嫁はこっちよ! 準備しましょ!」
奈央さんが手招きして。
「花婿は働け! とっとと手伝え!」
拓巳さんから声が飛ぶ。
「僕たち主役なのにな」
ぼやくライアンを見上げて、笑っちゃった。
こんな素敵な人たちに巡り合えたことが、嬉しくて幸せで――
あふれる気持ちをかみ締めるように、胸を押さえた。