ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

どこかの公園だろうか。
広い芝生の上に座ったTシャツ姿のラフなライアンと、飛鳥さん。
そして2人に挟まれるように、航と同じくらいの男の子があどけない笑顔で映ってる。

くるんと跳ねた柔らかそうな黒髪にエメラルドのつぶらな瞳、ふっくらバラ色の頬……まぁあの両親のDNAを受け継ぐわけだから当然っちゃ当然だけど。
将来が楽しみというか、末恐ろしいというか……
とにかくものすごく綺麗なんだ、彼は。

この前来日した時連れて歩いたら、すれ違う人ほぼ全員が振り返ってたもんな。

もちろん優れてるのは外見だけじゃない。
性格も素直だし、物おじせず、とても賢い子だ。

まぁ、そういう子ほど、時として大人を振り回すものだけど……

先週の出来事を思い出したオレは、こっそり思い出し笑いしてしまった。


あれは、夜だった。
久しぶりに会社で残業してて、確認が必要になり、ライアンに連絡した時のことだ。

この時間なら自宅にいるだろうし構わないかなと、携帯を鳴らしたんだよな。

でも。
呼び出し音が途切れ、「ハロー」と耳に飛び込んできたのは、子どもの声だった。

――あ、たっくんかな。吾妻拓巳だよ。覚えてる?

彼はすぐ思い出したようだ。
「ユウとコウのお父さんですね。こんにち……こんばんは!」と、流暢な日本語で答える。

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