ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
4. スキャンダル
一瞬だった。
すぐに、その姿はワゴン車の陰に隠れてしまい――
慌てて追おうとしたんだけど。
「うぅう……!」
急に、苦しそうなうめき声がすぐそばで聞こえて。
カラン……
地面に転がる杖が見えた。
「おばあさんっ!? 大丈夫ですか!?」
脂汗を滲ませたおばあさんが、苦しそうに心臓を押さえつつ、崩れ落ちそうになる。
「よっ横になれますか?」
なんとかその体を支えながら地面に横たえると、「どうした?」って空車タクシーから運転手さんの顔がのぞいてるのが見えた。
「すみません! こちらの方、ちょっと見ててもらえますか。今誰か呼んでくるので!」声だけかけて、立ち上がる。
ニセ秘書のことを未練がましくチラッと考えたけど……頭を振った。
今はそれどころじゃない。
私は急いで、病院内へ引き返した。