ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

じゃあお見舞い?
スーツを着てたし、会社関係の人が入院してるとか。
それなら、ありそうじゃない?

と、考えながら足を進めると。
建物を回り込み、裏門に着いてしまった。

彼が向かっていたのは、こっちの方向で間違いないわよね。

ここから、外に出たのか。
あるいは、そうじゃないとすれば……

そこにあるのは、従業員用の入口だけだ。

もしかして、働いてる?
この病院で?

ううん、とかぶりを振る。

ドクターやナース、事務員、清掃員、病院内ではいろんなスタッフとすれ違うけど。
どの人もユニフォーム着用だ。
あんな高級そうなスーツを着て、土曜の午後から出勤する人なんて……いるんだろうか?

うーん……わからない。
どういうことだろう。

でも。
患者なりスタッフなり、病院と関係ある人物であれば、ここを見張ってればまた会う可能性はあるかもしれないってことよね。

とにかく今夜、お花見の件と合わせてライアンに話してみよう。

少しだけ前進したような、弾んだ気持ちで取って返した私は、今度こそタクシー乗り場へと向かった。

< 49 / 394 >

この作品をシェア

pagetop