ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

ガクッと後ろにのけぞりながら振り返る。


「えっ、……伊藤、くん?」


去年の事件で知り合った、SD、だ。


今日は、ボーダーのカットソーにスラックスって、まるで大学生にも見えるカジュアルスタイル。
本当にカメレオンみたいな人だなぁ。

密かに感心する私に構わず、彼は小声で言った。
「裏道に車が停めてある。そこまでついてこい」

「ええっと、どうして……」

「お前を連れて来いって、頼まれてんだよ」

「ライアンに?」
私が言うなり、シィッと伊藤くんは人差し指を唇にあてた。

「おしゃべりは後だ。とっとと行くぞ」

彼がチラチラ、マスコミの方を気にしてるらしいって気づいて、嫌な予感がした。
もしかしてあの人たちと、何か関係あるの?

「わ……わかった」

とにかく、言う通りにした方がいいみたいだ。

< 51 / 394 >

この作品をシェア

pagetop