ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「の、載っちゃったんですか?」
「ええ、『オスカー俳優、アジア系モデルと極秘結婚!?』っていう見出しでございました」
「え……結婚?」
「びっくり仰天でございましょう? バスローブがウェディングドレスに、ちんちくりんのメイドがモデルに、変換されてしまってるんですもの」
両手で口元を抑えたマリーさんから、うふふっと笑い声が漏れて。
それが伝染したみたいに、私もくすくす肩を揺らしていた。
「そんなものでございますよ」
優しい声に、ハッとした。
「彼らにとって、真実なんてどうでもいいんです。よりセンセーショナルに、よりスキャンダラスに。火の気のないところにだって、吸い殻バラまいて煙を起こそうって連中ですからね。真剣に悩むだけ損ってもんです」
「マリーさん……」
あぁ……そうだった。
深呼吸して、肩から力を抜いた。
彼から直接、別れようって言われたわけじゃない。
だから、惑わされちゃダメなんだ。