今あるこの瞬間を…
「何だ、まだ入院中だったのか?勝手に病院を抜け出しちゃだめじゃないか。」

「そうだぞ。すぐに病院に戻れ。ほら、あたしも一緒に先生に謝ってやるから。」

今度は秀明と加奈がそう言った。

「いや入院もしてないから…」

「まぁ冗談は部屋の隅のあのジメっとしたところに置いといて、本題に戻すぞ。」

そう光介がまとめた。

「何かもうどうでもよくなってきたよ…」

「何でもいいが、あいつはとっくに部活に行ったぞ。」

秀明がそう言った。

「何だとーーー!!なんてすばやい奴なんだ。」

「いやいや光介。光介が意味不明なこと言ってるからだと思うよ。」

「とにかく、今日は弓道部に潜入捜査をするぞ。俊治がなぜあんなにも部活にこだわるのかを調べるんだ。」

「普通に弓道が好きだからだと思うよ。」

「いや、そこにはきっと人には言えないようなことがあるはずだぜ。よっしゃ~、燃えてきたぜ。」

「光介、なんか楽しそうだね。」

「こいつがこういうことが好きなのは昔からだろ。」

僕と秀明は少しあきれながらそう言った。だけど、内心僕はこんな風にみんなと遊ぶことに幸せを感じていた。

ふと光介を見ると、少し悲しそうに見えた。光介は僕に気づくと、にこやかに笑った。悲しそうに見えたのはきっと気のせいだったのだろう。

準備を整えると、僕たちは弓道場へ向かった。
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