今あるこの瞬間を…
授業が終わると、秀明が頭をさすりながら戻ってきた。あのあと教師から叱責を受けたらしく、ひどく疲れているようだった。

「なぜだか知らんが頭がひどく痛い。」

「きっと寝違えたんだ。そうに違いない。いや、むしろそういうことにしておけ。」

加奈がわけの分からない理由を述べる。

「そうか~?よし、そういうことにしよう。」

そして納得する秀明…

「あぁ秀明。今ほど君をかわいそうだと思ったことはないよ。」

「同情してくれるのか?やっぱり亮は優しいな。」

そう秀明はボケまるだしで言った。俊治はまだ笑っている。

「そういや何で俺は教師に説教されたんだ?」

「きっと寝違えたんだ。そうに違いない。いや、むしろそういうことにしておけ。」

また加奈が意味不明なことを言っていた。さすがに今回はつっこむ。

「いやいや。寝違えて叱られるって聞いたことないから。」

「そうか?あたしはあるぞ?」

「俺もあるぞ。いや、むしろ叱られる理由の大半は寝違えたことによるものだ。」

加奈と俊治はそう答えた。この2人にとっては普通らしい。

「そうか~?…うん、そうだな。」

秀明は実に満足そうな顔をしている。

「あぁ、かわいそうな秀明…」

そんなこんなで午前の授業は終わった。
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