心をなくした女神
授業以外の休み時間は、ほぼ廊下に座っていた。
価値観が違う私からしたら、友情だとか仲間だとか面倒くさい。
廊下だと教室の中は見えないし、嫌なものも目につかないから。
「いぶちゃん」
「…」
「いーぶちゃん!」
「は?」
隣で聞こえる少し高めの声、それは私に向かってかけられていると気づき、思わず反抗的な返事をしてしまった。
スマホから目を離して横を見ると、いつの間にか知らない人が私の隣にかがんでいた。
その人と目が合うと、子供みたいににしゃりと笑う。
「誰だよ」
「え、渡瀬さん知らないの俺だよ俺!」
オレオレ詐欺でもしてるかのように、顔に指をさして驚くその人物はどこかで見たことがある。
「笹野宏太だよ!ほら1組の!」
うわ、嫌いな奴。
名前を聞いた瞬間、心の中でそう思った。
「あ、苦手なタイプ?うるさい俺?」
嫌な顔をしてたのが分かったのか、勝手に1人で話し始める笹野宏太。
「嫌い」
「直球すぎない?話すの初めてじゃん?」
自分を抱きしめるようにして震える彼は、チャラい。
これが人を惹きつけるのか、そう理解した。
人気者の彼がなぜ私の所に?
おかげで、1組の廊下からは痛い視線がグサグサと突き刺さってくる。
「帰る」
「待ってよ!」
手をついて立ち上がり、横に置いていたカバンを手に取った。
すると彼は、ピッタリ隣にくっつくように一緒に歩き出した。
「俺と友達にならない?」
「無理」
「でもさ」
急に腕を掴んできた笹野宏太。
私は彼の手をすぐに振り払い、睨みつける。
「私に関わらないで」
また歩き出すと、今度はついてこなかった。
ほっとした。
価値観が違う私からしたら、友情だとか仲間だとか面倒くさい。
廊下だと教室の中は見えないし、嫌なものも目につかないから。
「いぶちゃん」
「…」
「いーぶちゃん!」
「は?」
隣で聞こえる少し高めの声、それは私に向かってかけられていると気づき、思わず反抗的な返事をしてしまった。
スマホから目を離して横を見ると、いつの間にか知らない人が私の隣にかがんでいた。
その人と目が合うと、子供みたいににしゃりと笑う。
「誰だよ」
「え、渡瀬さん知らないの俺だよ俺!」
オレオレ詐欺でもしてるかのように、顔に指をさして驚くその人物はどこかで見たことがある。
「笹野宏太だよ!ほら1組の!」
うわ、嫌いな奴。
名前を聞いた瞬間、心の中でそう思った。
「あ、苦手なタイプ?うるさい俺?」
嫌な顔をしてたのが分かったのか、勝手に1人で話し始める笹野宏太。
「嫌い」
「直球すぎない?話すの初めてじゃん?」
自分を抱きしめるようにして震える彼は、チャラい。
これが人を惹きつけるのか、そう理解した。
人気者の彼がなぜ私の所に?
おかげで、1組の廊下からは痛い視線がグサグサと突き刺さってくる。
「帰る」
「待ってよ!」
手をついて立ち上がり、横に置いていたカバンを手に取った。
すると彼は、ピッタリ隣にくっつくように一緒に歩き出した。
「俺と友達にならない?」
「無理」
「でもさ」
急に腕を掴んできた笹野宏太。
私は彼の手をすぐに振り払い、睨みつける。
「私に関わらないで」
また歩き出すと、今度はついてこなかった。
ほっとした。