心をなくした女神
「隣いい?」
「だめ」
よっぽどメンタルが強いのか
笹野宏太は昨日のことが何も無かったかのように振る舞ってくる。
変な人だ。
普通ならあんなことされて嫌な思いをしない人はいない。
それを分かっててやったことなのに、ケロッとしていた。
「あっち行って」
「じゃあ俺の話し相手になってくれる?」
何も許可出してないのに、同じようにあぐらをかいて隣に座った笹野宏太。
私の顔を下から覗いてきた。
近すぎる。
そう思い、私は立ち上がる。
「あ、ちょっと」
「あんたが行かないなら、私が行くから」
立ち上がりスカートのホコリを払って、教室の中へと入った。
「ちぇっ、また来るね渡瀬さん」
笹野宏太は教室の中まで声をかけてきた。
クラス全員私を見る。
あぁ、やっぱり苦手だ。
シャットダウンするかのように
窓際の一番後ろに座り、うつ伏せになった。
お願いだから、私に構わないで。