只今、愛の診察中につき。
「死ぬなんて許さない」
コツコツとわたしへと歩を進める白井先生に
思わず後退りしてしまう。
「…っっ」
コツン。
先生はついにわたしの真正面へと辿り着いた。
するとわたしの黒く艶のある髪をひとすくいしてそこに口付けると
「逃がさない」
形の良い唇に弧を描かせ
期待にも絶望にも似た言葉を紡いだ瞬間
髪に口付けていたそれを今度はわたしの頬にあてた。
「なっっ!何するんですかっ!!」
あわてふためいてると
先生はそれはそれは満面の笑みで
「これから、覚悟してね。響」
そう言い残し、病室を去っていった。