只今、愛の診察中につき。

「っ響……良かった…っ」

目が覚めて、良かった。

ボロボロと要さんの涙は止まらない。

「ちょっ…!なに泣いているんですかっ」

わたしも流石に狼狽(うろた)えてしまう。

だって、男の人が傍で泣いてるなんて初めてなんだもんっ。

「響っ、倒れたときに頭を打ったんだよ。血も出て…意識は戻らないしっ。」

「え…?」

そう言えば頭が何かで少し締め付けられていて、
これは包帯なのかと理解した。

倒れただけなのに、わたしはどうやら重傷扱いになっているらしい。

呆然としているとわたしに伸びてきた要さんの手。

それをわたしはスッと避ける。

「っっ」

要さん、物凄く傷付いた表情してるけど、
けどーー、

「…婚約者。居るんですね」

「っっ!」

「綺麗な方でしたね」

「……」

「わたしはもう大丈夫なんで婚約者のところへ行ってきてください」

「響」

要さんの家からも出ていきますから。荷物も早めにーー」

「響っ!!」

無理矢理わたしの言葉を遮ると
力強くも優しくわたしを抱き締めてきた。

でも、もうーーー




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