只今、愛の診察中につき。
「僕の夢は小さな頃から医者になることだった。けれど、うちはその日1日を暮らしていくのでやっとな程貧しかったんだ。母ひとり子ひとりの生家だったからね。けれど、それでも夢は諦めたくなかった。母は貧しいながらも少しずつ貯金していてくれて、僕の夢を応援してくれていた。それなのに…」
ギリリと要さんが歯の根を鳴らした。
「あの人は、僕が中学に上がった頃、男と家を出ていってしまった。ーー捨てられたんだ」
「っっ」
「あんなに優しかった母がなんで急に男を作って僕を捨てたのかなんてわからない。けど、捨てられたのは曲げようもない事実だった。身寄りのなかった僕はそのまま養護施設へと…。それからは医者になりたいなんて思わなくなって、ただただ荒れた。特に女性に対しては嫌悪感しか抱けなくなって、来る者は拒まずで、傷付けるだけ傷付けて捨てるを繰り返してたよ」
ほら、僕って見てくれは良いから女には苦労しなかったんだよねっ。
なんて、今にも泣きそうな顔で話して。