只今、愛の診察中につき。


それから、タクシーを拾ってスーパーで食材やらお酒やらを買って、五分ほどくらい夜道を歩くと
見えてきたのはシンプルな造りの2階建てアパート。

そこの階段をのぼるように促されて
ピタリと足を止めた。

「どうした?」

「えっと…、ここは?」

「俺んち」

えっ!?

「あれ?言わなかったっけ?いま独り暮らしなんだ。俺」

聞いてないんですけどぉぉーー!!??

カチーンッ!と固まったわたしを見て
何とも言えない感じで叶は首の後ろを掻きながら、

「なんもしねぇって。…たぶん」

たぶん!?

「大丈夫だって!ホラ、飯作るから入れよ!なっ!」

ま、まぁ、叶とは兄弟みたいなものだし、今まで何もなかったんだから今更か…

「お、お邪魔しまーす…」

小さな玄関で靴を脱いで、一歩部屋に入ると
叶がパッと灯りを点けた。
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