只今、愛の診察中につき。
「病室戻ります…っ」
白井先生の腕のちからが緩んだところで
するりと先生から離れ、小走りでその場を後にした。
病室に戻ると小さな洗面所の鏡を見る。
…あ。やっぱり……。
鏡に映ったわたしの
本来なら漆黒である筈のその瞳が
蒼く変わりかけていたーー。
見られちゃった…よね…。
はぁぁーっと深いため息をつき、硬いベッドにダイブした。
普段ならカラコンつけてるからバレることなんてないのに。
人を視るこの蒼眼。
人生を狂わせたこの眼。
ーー今まで何度、くり貫こうとしたか。
「…明日から、ホームレス生活かぁ」
ふふっ、本当に人生のドン底まで堕ちた気がする。
笑ってるのに何故だか涙が止まらない。
どうか明日がゆっくりやって来ますように。