只今、愛の診察中につき。


「あのっ、やっぱり車椅子の状態でお世話になるわけにはーー」

「大丈夫!うち、バリアフリーだからっ」

…そういう問題なの…?

わたしが、うーんっと考えている間に馨さんはさっさと病院を出て気が付けば駐車場に着いていた。

「この車、障がい者用仕様になってるから車椅子でも楽に乗れるわよっ」

目の前の車は黒のランドクルーザー。

新車じゃなかろうかと思うほどキレイで。

ボケーッと眺めていたら、馨さんはそんなわたしを見てクスリと笑うと後部座席のドアが自動で開いて、そこからスーッとスライドしてきた昇降台に車椅子ごと乗り上げ車内へと滑り込む形で乗った。

そして、さっと運転席に滑り込んだ馨さんは意気揚々と

「それでは!しゅっぱーつ!!」

声を弾ませ、滑らかに車を発車させた。

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