只今、愛の診察中につき。
「さっ、ここが響ちゃんの部屋よ。家具や小物も適当に揃えたから好きに使って頂戴ね」
案内されたのは8畳ほどある広めの部屋。
ベッドやタンスはログハウスに似合うカントリー風なデザインで統一されていた。
「そろそろお昼ごはんの時間よね。チャチャッと作ってくるから響ちゃんは少し休んでいてね。疲れたでしょう?」
「あっ、わたしも手伝います…っ」
「怪我人は無理しないのっ!」
「…うっ…。はい…」
「うんっ!素直でよろしい!」
ニカッと素敵な笑顔をわたしに向けると馨さんは上機嫌でキッチンの方へ消えた。
「……」
馨さん、世話好きなのかな。
ここで暫く暮らせるったって、怪我が治るまでだろうし、それまでに新しい仕事見付けてアパートも探さなくちゃな。
現状に甘えてはいけない。
でも、この先自分はいったいどうなってしまうんだろう。
押し寄せる不安を頭を振って無理矢理打ち消す。
頑張れ、わたし。
…頑張らなきゃ、いけないんだ。