只今、愛の診察中につき。

…ブーッ…ブーッ…

規則的な振動が車椅子のポケットの部分から聞こえてきた。

「…?」

片手でなんとか身体を起こして車椅子の背にあるポケットの中を探ってみるとーー、

「…!これ、」

手に何やら固いものが触れて、取り上げると
この手に握ったものは、要さんがわたしにとくれたピンクのスマホだった。

そのスマホが震えながら知らせているのは、紛れもない要さんからの着信。

「要」と表示されている画面に心臓がこれでもかと言うほどドクドクと音を立てる。

どうしよう、どうしよう…っ!

声が聞きたいのに、後ろめたいことが沢山あって電話に出るのが怖い…!

ブーッ…ブーッ……ブッ

「…!イヤッ!!」

暫く振動していたスマホが鳴り止んだ途端、底知れぬ恐怖と焦燥感が襲ってきて、反射的にかけ直していた。

プルルルッ、プルルルッ…

2回、3回とコール音が耳に刺さって行く。
お願いっ!要さん…出て!お願いっ…!

プルルルッ…プッ…
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