只今、愛の診察中につき。
『橘との事は水に流すーー』
要さん、わたしと叶のこと知っているの…?
『明日午後1時までにーー』
◯◯港って言ったら結構遠い。
ましてやこんな車椅子状態じゃ無理ーー。
必死で考えや気持ちを整理しようとするけれど、まだ事故前みたいには思考回路が上手く回らない。
どうしよう。どうしたらいい?
…わたしは、どうしたい?
~♪~♪
その時、今度はベッド付近に置いてある赤色のスマホが可愛らしい着信音でわたしに誰かからの着信を知らせてきた。
これは、入院中に叶が自分との連絡手段にと持たせてくれたものだ。
「…もしもし。叶?」
『……』
反応がない。
「かなう…?」
もう一度その名を呼んだら、
『…ひびき』
今にも消えていなくなりそうな叶の弱々しい声が返ってきた。
「どうしたの?何かあった?だいじょう…」
『行くな』
「っ…!?」
『行かないでくれっ。響』