只今、愛の診察中につき。

叶には、正直な気持ちを伝えた。

ありのままのわたしの気持ちを。

そして何度も頭を下げて謝った。

叶はそんなわたしの気持ちを、今にも泣きそうにしながらも笑顔で承知してくれた。

わたしは、泣いたらダメなのに
大粒の涙がボタボタと頭を下げるそばから地面に沢山落ちた。

恋人にもなれなかった。
もう、ただの幼馴染みにも戻れなくなったわたし達は、最後にぎこちない握手をして、別れた。


そして、次に向かうは要さんが待つ港。

要さんにも別れを告げる。

ーー筈、だった。

他の男と関係を持ったのに図々しく要さんの傍にいられるほど、わたしは強くないからだ。

港に着いて、馨さんに補助してもらいつつ要さんを探した。

いや、探そうとしたのに。

すぐに、気付いてしまった。見付けてしまった。

悔しいほどに要さんはイケメンだ。

周りになんとなく女性が遠巻きに要さんを囲っていた。
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