只今、愛の診察中につき。
「…へ?行く?行くって…?」
どこへ?
「僕たちの愛の巣がある離島っ!」
「はっ!?」
「ちょっと!要!?」
「姉さん、あとで住所教えるからそうしたら響の荷物送って。ある程度は揃えてあるけどね」
馨さんからわたしが乗った車椅子を奪い取ると要さんはそのまま船の搭乗口に向かった。
「か、要さんっ!わたし…っ」
「…詳しいことは島に着いてからベッドで聞くからね」
「っっ!」
わたしの怪我のことを考えるとまだ出来ないのは分かりきっているのに、なんか要さんが言うと卑猥に聞こえる…。
そうこうしているうちに船がゆっくりと陸から離れた。
天気も良くて、波も穏やか。
どんどん本州が遠くなってゆくのを眺めながら要さんに問いた。
「…要さん」
「…ん?」
「ごめんなさい…」
「許さないよ」
「っっ」
『許さない』その一言が心に刺さって堪らず心臓のあたりをぎゅっと握って下を向く。
「…だから、一生をかけてわからせてあげる。僕がどれほど響を愛しているか。ーーそして、響がどれほど僕に溺れているかをね」