只今、愛の診察中につき。

「…響。見て、海」

「…え?…うわぁ…っ!」

顔をあげて海の方を見れば圧巻のサンセット。

こんな綺麗な風景今まで見たことない。
暫く魅入っていると、嬉しさや悲しさや申し訳無さでいっぱいになって、とめどなく涙が溢れてきた。

「っふ…」

「響?」

そんなわたしの様子をすぐに気付いてくれた要さんはわたしの正面に移動して中腰になって心配そうに顔を覗きこんできた。

「どうしたの?傷が痛むの?」

わたしは言葉の代わりに、ふるふると首を横に振った。

「響…。あんまり自分を責めなくていいんだよ。そもそも僕が軽率だったのがいけなかったんだ」

優しい言葉が、今は針が体に刺さるよりも痛くて。

「っでも、わたしっ、わたしは…っ」

「あんな奴に抱かれた事なんて思い出す暇もないぐらい抱き潰してあげるから大丈夫だよ」

優しくしないで。どうしてわたしなんかをそこまで想ってくれるの?

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