只今、愛の診察中につき。
「…響。ねぇ、響。こっちを見て。僕の方を見て」
泣きじゃくるわたしをまるで子供にそうするように優しくあやしながら、自分の方を見るように促してきた。
わたしは止まりそうもない涙を流しつつゆっくりと要さんを見た。
ーーー瞬間。
止まるはずなかった涙がピタリと止まった。
まばたきさえも忘れて凝視してしまっているのは、片膝を折り、そしてわたしに差し出す形でその両手に収まっている、その小さな四角い箱。
パカリと開くその箱の中央に存在しているのは堂々と大きなダイヤモンドをたたえ支えているプラチナらしきリング。
一目見れば誰だってわかるぐらいの、
エンゲージリング。だった。
言葉が、出ない。
それでもそんなわたしに包み込むような微笑みを向け、要さんは言った。