只今、愛の診察中につき。


そして、遠方に見えていたタワーマンションがどんどん近くなっていって、その駐車場になんの躊躇いもなく滑り込む。


すると、すかさずこのマンションのコンシェルジュらしき品のあるおじ様が先生の元へ来て、


「お帰りなさいませ。白井様」


と、うやうやしく頭(こうべ)をたれた。

「ただいま、三井さん。こちら、滝藤(たきとう)響さん。この間説明したけど、今日から僕たち一緒に住むことになったから顔覚えてね」

……………………は?


「かしこまりました。滝藤様、初めまして。わたくしこちらのマンションのコンシェルジュを任されております三井と申します。これから宜しくお願い致します」

ポカンとしているわたしの前で深々と頭を下げた三井さん。

「よし!じゃあ行こうか響ちゃん。僕んちここの20階なんだ」

未だに何も飲み込めていないわたしの手を取り先生はご機嫌でエレベータに乗り込んだ。

< 19 / 184 >

この作品をシェア

pagetop