只今、愛の診察中につき。

「せっ、先生…っ！」


とても静かで浮遊感をあまり感じないエレベータの中にふたりきり。

わたしの手を握ったまま鼻歌を歌い出した先生の袖をグイグイと引っ張った。

「い、一緒に住むって一体どういうことなんですかっ……！」

「ん？それはね？…あっ」

ポーンッ。

軽くこもるような音を立てたエレベータの扉がサッと開く。

「着いちゃった」

広く綺麗な廊下を進み、角部屋の前で止まると

「ここだよ」

極上の笑顔でドアを開けて、わたしに入ってと促す。

ここまで来たら、なんかもう入るしか選択肢はない気がして、おずおずと足を踏み入れた。

「お、お邪魔…します…」

「響ちゃん。ここは今日から響ちゃんの家でもあるんだから『お邪魔します』は、おかしいでしょ」

クスクスと可笑しそうにしながらも嬉しそうに笑う先生。

「っっ…！！」

「さぁどうぞ」

わたしが言葉を発するよりも早く、先生は部屋のドアを開けた。