只今、愛の診察中につき。
取り敢えず申し訳程度しかない衣服を広すぎるクローゼットにしまい、これも申し訳程度しかない化粧品をドレッサーにしまった。
…その行動をベッドに腰掛けながら先生はずっと見ていたわけで……
「今度実家に荷物取りに行こうか」
その言葉にビクリと体が反応する。
「…いえ、これだけでいいんです。アパートで暮らしていた時も何か物を買うお金なかったので、今回の入院時に持ってきたこれで殆んどですし、あとの物は、……もうきっと親が処分してしまっていると思います」
窓の方を向き、俯きながら必死で声に出した言葉。
酷く震えたのが自分でも解った。
ギシ…ッ。
先生がベッドから立ち上がった音が聞こえたかと思うと、ふわりと後ろから抱き締められた。
「…同情なら……やめてください」