只今、愛の診察中につき。

要の姉





真っ白な世界に、ひとり立っていた。


……ここは…?


ぐるり見渡すも誰もいない。何もない。


誰か……。誰かいないの?


宛もなく駆け出すも走れども走れども景色は真っ白なまま。


「はぁっ…!はぁっ…!誰かっ!!」


叫びながらぐるりと自分の廻を見渡す。


すると、


「響……」


ハッ!と声のしたほうに勢いよく振り向く。

そこに立っていたのはーー


「尊(たける)さん……」


かつての婚約者。だった。




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