只今、愛の診察中につき。

そんな事を考えながらいつものようにボケーッとしていると、突然ドアをノックする音が聞こえて
わたしは反射的に身構える。

もしかしたら彼がーーー

そんな一縷の期待は、

「よぉ。見舞いに来てやったぞ」

この男によって無残に砕かれた。

「叶(かなう)。なに、からかいにきたの?」

「ちげぇよ。外界が恋しくなってるんじゃねぇかと思って、お前の好物わざわざ買ってきてやったんだよ」

コトリと小さな箱をわたしの前のテーブルに置いたのを開けると
小さい頃から大好きなケーキ屋さんのガトーショコラとティラミスが入っていた。

「…いいの?」

「おう、食え!お前、前にも増して貧弱な身体になっちまったからこれ食って太れよな」

「はい。ガンバリマス。」

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