只今、愛の診察中につき。
「……ごめんなさい」
すっかり正気に戻ったわたしは、自分が何をしたか理解してありんこサイズまで小さくなるんじゃってぐらい反省して萎(しぼ)んでる。
先生はと言うと、わたしの手の傷の手当てを素早くこなすと、割れたグラスを掃除し始めていた。
「…それは、何に対しての『ごめんなさい』なの?」
いったん掃除の手を止めた先生はスッと目を細めてわたしを見た。
お、怒ってる…のかな…。
そりゃそうだよね……。
「せ、先生の家のグラス、割っちゃって……」
それを聞いた途端、先生はフゥと息を吐いた。
それはありありと『違う』を示していてーー。
「先生の、スーツも汚して……」
「違うだろ?」
言葉を遮られて思わずビクリと身体が反応してしまう。
そんなわたしの様子に気付いた先生は
スッとこちらに近付き、ソファに座っているわたしの右手を自身の両手で優しく包み込んで、
「『自分を傷付けてごめんなさい』だろ?」
「…え…?」