只今、愛の診察中につき。
少しの間談笑していたけれど、精神科病棟の面会時間は他の病棟のよりもずっと短くて
あっという間に終わってしまった。
「じゃあ、また来るわ」
「待って!…あっ」
病室を去ろうとする叶をせめて病室のドアまで見送ろうと急いでベッドから降りようとした時、体のバランスを崩して倒れそうになった。
それをすんでの所で叶が抱き抱えてくれた。
「ごっ…ごめんっ…」
慌てて叶から離れようとするも、そのまま抱き締められてしまった。
「叶…?」
「なんで…こんなんなるまで…」
「え?なに?」
「…なんでもねぇよ。それより本当に肉付けろよな。抱き心地悪ぃぞ」
「なっ…!叶っ!!」
真っ赤になって叫ぶわたしを背に叶は何事もなかったかのようにヒラヒラと片手を振って部屋から出ていってしまった。
途端にシンッとなる病室。
寂しい。なんて、思っちゃいけない。
気を取り直してベッドに戻ろうとした時
窓に反射した自分の姿に気付いた。
痩せ細った身体に、生気のない蒼白い肌。
なのに腰まで伸びた髪の毛だけは黒く艶々としていて。
「…気持ち悪い」
自分自身にそう暴言を吐いた。その時だった。