只今、愛の診察中につき。
「要様、病院へお戻りですか?」
エントランスへ出ると三井がすかさず近寄り声をかけてくる。
「…三井。響の前ではまだ『白井様』にしてくれよ?」
「承知しております」
「響はいま寝てる。起きたら婦人に世話を頼む」
「かしこまりました」
地下から上がってきた車に素早く乗り込むと静かにマンションを後にした。
ある程度走ったところで響のスマホが、ブーッブーッと震えた。
それが合図かのようにこのまま直進していけば病院に着く道を左折する。
「……うかうかしている方が悪いんだよ」
残忍に顔が歪んだのが自分でもわかった。
程なくして視界に入ってきたファミレスの駐車場に滑り込む。
「…さ・て・と・」
ピンクのスマホを握りしめて、いざ、店内へ。