只今、愛の診察中につき。


店内へ足を踏み入れると、ピンポーンと来客を知らせる軽い音が響く。

「…!!い、いらっしゃいませ……っ!!お、お一人様ですかっ!?」

僕を見るなり何故か顔を真っ赤にして興奮した様子の若い女性店員。

「…。いえ、待ち合わせしているので。失礼」

それに対して何とも言えない不快感を覚えて
僕はまだあれこれ言っている店員を無視して『彼』をキョロキョロと探した。

……いた。

一際目立つ赤髪。

忘れるわけがない。響が入院していた時に一度だけお見舞いに来て、響をーー

ギリッ。

思わず歯の根を鳴らしてしまった。

無表情のまま素早く彼の席まで近付くが、
彼は下を向いてスマホを見詰めていて僕に気付かない。

それならーー

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