只今、愛の診察中につき。

ライバル

side. kanau


「ごっ、ご機嫌よう…」

「…は?」

俺の前に現れた響は入院していた頃より少しふっくらして血色も肌艶(はだつや)も良くなったように見える。

…いや、むしろ顔は真っ赤で必死でワンピースらしき服の上から羽織っているジップパーカーで首もとを隠していた。

「お前、なに首もと隠してんだよ?」

「えっ!?な、なんでもないよ!?」

…嘘へたかよ。

その証拠にあいつニヤニヤ笑ってやがるじゃねぇか。

……だいたい想像ついちまったけどな。

何とも言えない気持ちになって大きなため息を吐くと

「叶…?」

大丈夫?って、俺の向かいに座った響が心配そうな顔で。

俺、コイツのこういうところ、好きだ。

「ああ、だい…」

「心配してあげなくても大丈夫だよ、響。橘は自分の純情ボーイがする浅はかな妄想してため息をついただけだから」

おいっ!

キラッキラの極甘な笑顔で容赦なく俺を貶(けな)すこの男に殺意が…
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