只今、愛の診察中につき。
要さんの診察はあっという間に終わる。
そりゃそうだ。わたしの様子なんて毎日見てるんだから。
「ありがとうございました」
形式張った挨拶をして診察室を出ようとすると、
「帰りは三井婦人が響を迎えに来るから」
「…ん。わかった」
今すぐにでも押し倒されるんじゃないかってぐらい切ない色気が駄々漏れしている要さんに苦笑するしかない。
そうして診察室を去ると、トイレに行きたくなった。
ドリンクバーで飲みすぎちゃったかな。。
……敵が多いところでトイレに入ったら危険なのすっかり忘れてたわたしは、入って出ようとするなりどこから現れたのか看護師数人にあっという間に囲まれた。
「……通してください」
普段極力ひとと接しないのに、こんな敵意ばかり向けてくるひとに囲まれるのはたまったもんじゃない。
「…調子に乗るんじゃないわよ」
1人が口火をきれば、一斉にわたしを罵倒し始めた。