恋愛コンプレックス
 初恋の相手は数いるライバルを蹴落として血の滲む思いで勝ち取ったもののセックスの途中に平気で他の女からの電話に出て、挙げ句そのままその女の所へ行ってしまうろくでなしだった。
 二人目はデート先に母親が付き添うマザコン。
 三人目は甲斐性なし。
 四人目は映るものがあれば身なりを整えるナルシスト。口癖は「髪型変になってない?」
 五人目は会話の九割がでまかせの嘘つき。
 六人目記憶なし。
 七人目は隠れおたく。
 八人目は片付けられないシンドローム。私の部屋も、ものの一時間で廃墟にする。
 九人目はベジタリアン。
 十人目は人の金にまで手をつけるギャンブラー。
 十一人目はドメスティックバイオレンス。
 十二人目はバイ。
 十三人目二重人格。
 十四人目は相手の事を知る前に振られる。
 以下略。




 男運がないというよりはもはや私に全ての非があると認めざるを得ない遍歴に、周りは私をゲテモノ好きだと笑う。笑えないのは、ゲテモノなんてこれっぽっちも好きじゃない私自身ただ一人である。

 「今度のはどんなスキモノ?あっ待って、もうすぐ敦子もくるからその時話してよ。二度手間にならないように。」
 はずきはスツールを半回転させて私の方に体をよじらせた。興味のある話になったときにする彼女の癖だ。
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