きみと一から始める私




思っていた反応が返ってこなかった瀬尾くんは少し残念そう。




でもこれでどうして1席増えたのかは分かった。



私の隣…しかももう片方は壁と窓なんて、転校生さんもついてないよね。



それこそ瀬尾くんみたいなコミュ力の高い人の隣の方が打ち解けやすいだろうに…。



まだ見ぬ転校生さんに申し訳なく思いながら窓の外を眺めていると、程なくして担任の吉田先生が入ってきた。



「HRを始める前に…って、お前らその様子ならもう知ってんだろ。瀬尾か?」



「ゲッ!!バレてる…」


「まあいい。とにかくそういう事だからさっそく紹介するわ。おい、入っていいぞ」




吉田先生は30代の男の先生で、いつも気だるげな雰囲気を纏った人だ。



今日も今日とて通常運転の吉田先生に招かれて、ゆっくりと扉が開く。



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