アンバランスな関係
保健室に入った

もしかして瑛ちゃんも会議に呼ばれているかな?って
思ったけど

瑛ちゃんは
白衣を着て
机に座っていた

「一年の橘さんだったよね」

他人行儀なのは、瑛ちゃんの前に生徒が座っていたから
瑛ちゃんと楽しく会話をしていた女子生徒は
私と目が合うと
瑛ちゃんに一礼して
保健室を出て行った

「今のは浮気じゃなくて」

逃げるように出て行った
女子生徒の背中を見送った私に
瑛ちゃんが言い訳を始めた

「昨日、久我山に会ったの?」

「生徒の情報網ってすげえ」
瑛ちゃんは回転椅子に座った

「あのおばさん
マコと光汰が街中を一緒に歩いてたって
騒ぐから
ちょっと締め上げた」

「嘘
抱いたんでしょ
あま~い言葉で誘って
その気にさせたところで
冷たく突き放して
お姉ちゃんたちの誤解をとけって」

「あれくらいの年のおばさんは
扱いやすくて
楽だよな~」

「瑛ちゃんって
そういうとこは残酷だよね」

「スミレを裏切ったりはしないよ」

ほほ笑む瑛ちゃんの顔は冷たい

「ねえ、明日の弁当はすみれと同じ中身がいい」

「ご褒美なら
もうお姉ちゃんからもらっているでしょ」

今朝、朝がた帰ってきたんだから
楽しんだんでしょ?

「スミレから貰わなくちゃ意味がない
だから明日は同じ弁当…ね」

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