課長、恋しましょう!
仕事が終わったのは、あー……今何時だ? 単身が斜めだな……八時か? いや、ありゃ八時半だ。

おいおい、定時は六時だぞ。と唸りてぇとこだが、今日はいろいろあった。昼のちぃとした事件から始まり、まったくもっていろいろあった。

聞かないでくれ。疲労したオヤジをそっとしといてくれ。肝臓気にしてビールで憂さ晴らすことさえできねぇんだからよ……

デスクの鞄を取りにいく。と、俺のデスクに黒い塊が見えた。

塊? いや、世はあれを人影と言うのだ。そしてその人影は彼女なのだ。予想と言うか……いや、前にもあったからな、こんなことが。

「おい、起きろ」

「んあ……あ、課長、おかえりなさいませぇ」

「なぁにが、おかえりなさいませだ」

「あ、エプロン着て言ったほうがいいですか? メイド服とか?」

「そうじゃねぇだろ。んな時間まで残って、なにやっとんだ」

「? ……課長を待ってましたよ」

そんなの見りゃわかる。なんで、わざわざ俺なんぞ待っとく必要があるのかと。

先に帰ってよかったんだよ、お前は。
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