課長、恋しましょう!
エレベーターに乗ろうとしたら、目の前で閉じちまった。そんなこた、ここ十年で慣れたもんよ。

と思いきや、

「あっ課長、ちょうど隣が来ました! しかもだれもいません。私達で独占です♪」

「おっ、ラッキーだな」

こんなこともたまにはある。たぶん今このラッキーで、半年分ぐらいの幸運を使ったかもわからん。

彼女と二人っきりのエレベーター。……ちょっと待て。早速と二人っきりか。こちとら、さっきの言葉がまだ頭の中で木霊してるんだぞ。

「課長……」

と、上のほう、階数ランプを見つめていた彼女が、俺へ目を寄越す。

「私を、見てください」

そして一歩、俺から距離を取った。

わけのわからん俺に、彼女はただ真っ正面で立ち、

「私を見て?」

「……」

「見てください!」

と、きつく叫んだ。

「ぉ、おう?」

仕方なく、じっと観察する。
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