幼馴染は恋をする
・プロローグ
これはまた…最近目覚めと共に記憶に残ってる夢なんじゃないかと思った。
うっすらと靄のかかった中を、ふわふわとこちらに向かって歩いてくるウエディングドレスを着たあいつ。
好きな白い花で作られたブーケを持ったあいつは、掛けられる祝福の声に恥ずかしそうに応えながら、そこまで来ていた。
俺に気がついた。驚いた顔になった。そうだよな、まさか、本当に来てるなんて、て思ったんだよな。…ちょっと笑った。そうだ、その顔…。もっと笑えよ…。そして、よく知ってるきりっとした表情に戻った。…その顔だ。
…フ、だけど今日くらい、もっと愛想よくしろよ…。ま、俺も、似たような顔つきをしてるって訳だ。いや…俺はちょっと違う、か。
誰かが声を掛け強引に手を取り、おめでとうと言いながら掴んだ腕を振り続けた。居るよな、過剰な程祝福の気持ちを表したい人。
ブーケから左手は離れたままだ。躊躇った。通り過ぎる左手を掴もうかどうしようか。俺はもう手を伸ばしていた。触れた、指先…掴めた。やっぱり夢じゃないんだ。一瞬だけだ。驚いたようだ。
まあそうだろう。花嫁に対してこんな行為、酔っ払いの所業だ。俺は酔ってない。さっきの人とは違う。全くの素面だ。
これは現実だ。認めるしかない。
「…おめでとう」
こんな行動に出て言うつもりもなかった。
「うん、有り難う」
うん、か…。本当に結婚するんだ。だよな。
朝…嬉しいのか?
虚しいのか?…俺は…。
めでたい場所に相応しくない顔でもう一度声を掛けた。
「良かったな」と。
結婚、出来たじゃないか。
うっすらと靄のかかった中を、ふわふわとこちらに向かって歩いてくるウエディングドレスを着たあいつ。
好きな白い花で作られたブーケを持ったあいつは、掛けられる祝福の声に恥ずかしそうに応えながら、そこまで来ていた。
俺に気がついた。驚いた顔になった。そうだよな、まさか、本当に来てるなんて、て思ったんだよな。…ちょっと笑った。そうだ、その顔…。もっと笑えよ…。そして、よく知ってるきりっとした表情に戻った。…その顔だ。
…フ、だけど今日くらい、もっと愛想よくしろよ…。ま、俺も、似たような顔つきをしてるって訳だ。いや…俺はちょっと違う、か。
誰かが声を掛け強引に手を取り、おめでとうと言いながら掴んだ腕を振り続けた。居るよな、過剰な程祝福の気持ちを表したい人。
ブーケから左手は離れたままだ。躊躇った。通り過ぎる左手を掴もうかどうしようか。俺はもう手を伸ばしていた。触れた、指先…掴めた。やっぱり夢じゃないんだ。一瞬だけだ。驚いたようだ。
まあそうだろう。花嫁に対してこんな行為、酔っ払いの所業だ。俺は酔ってない。さっきの人とは違う。全くの素面だ。
これは現実だ。認めるしかない。
「…おめでとう」
こんな行動に出て言うつもりもなかった。
「うん、有り難う」
うん、か…。本当に結婚するんだ。だよな。
朝…嬉しいのか?
虚しいのか?…俺は…。
めでたい場所に相応しくない顔でもう一度声を掛けた。
「良かったな」と。
結婚、出来たじゃないか。