幼馴染は恋をする

出会い


…ん?どうしたんだろう。うずくまっちゃって。

「ぼく?どうしたの?おなか、痛いの?」

顔をあげた。

「ううん。痛くない。痛いのはこっちなの…」

あ。

「あぁ…血、転んだの?」

脛を擦りむいていた。血が滲んでる、痛いよね。

「うん。走るとね、いつも転んじゃうの」

あ、あるある。気持ちは逸ってるけど、足がついて来ない感じになるのよね。フフ、私もよく転んだな。幸いアスファルトだから泥はついてないみたいだけど。…水。まだ開けてない水で。

「おねえちゃんね、お水と絆創膏を持ってるの。今から綺麗にして貼ってあげる」

「本当?いいの?」

「いいの。ちょっと痛いかもしれないけど我慢できる?」

「…できる」

あ、大丈夫かな。水とハンカチを出した。

「これでね、綺麗にして…」

バキバキとペットボトルを開けて傷を流した。

「痛い?こうしてハンカチで拭いて…」

男の子は脛を両手で掴むようにしてじっと見ていた。

「ぼく?何歳?…名前は?」

絆創膏を出して貼った。

「5歳。恵和」

「はい…できた。恵和君?おしまい」

「うわ、おしまい。有り難う」

絆創膏貼ったら治った気持ちになるよね。フフフ。

「うん、偉かったね。きっと直ぐ治るからね」



「お~い。恵和~、駄目じゃないか~。はぁ……はぁ…」

「あ、お父さ~ん」
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