幼馴染は恋をする
「何だか話は…色々話してるよ…。今はそれだけなのに、こんな風な事になって。……モテる子って、大変なんだね」

朝…まるで他人事だ。呑気だな…。だけど、俺、朝のそんな顔、見たくない…。

「…前」

「え?」

「あ、うん…、やっぱ何でもない」

「何?」

言うの止めたら朝はずっと追及してくるよな…。

「あー、うん。……前さ、二年の時につき合ってた三年の人の時はこんな事なかったよな」

寿(ヒサシ)さんだっけ。何気に大人っぽかったよな。朝も見た目それっぽいし、だから好きになられたのかもな。

「うん。…そうだね」

あの時はどうだったんだ。……朝はどのくらい好きだったんだ。今のイケメン野郎よりは好きだったのか。嫌がらせとか、誰にもされなかったよな。だけど…、卒業と同時に終わりになったんだ。そんなもんなのか。………したのか…ぁ、俺は何を…。
そんな事考えてたら朝の顔、唇を見てた。……朝…、キスとか、……もうしたのか…。その先も……か?……するとしたら、三年としたのか。いや…どうなんだ……。

「ん?…ん?」

顔を覗き込まれた。

「あ゙?何でもない」

…ヤバい……邪な考えが顔をエロくさせてたんだろうか。……はぁ、この、変態が!

「ファンクラブみたいなのがなかったからじゃない?それに、やっぱり、ちょっと大人だから、あんな事はしないんじゃないのかな」

二年と三年の違いか…。一年の時は差って、凄い感じたけど。……あんな事?あ゙、違う違う。俺の頭の中の事じゃない。いじめの事だ。
朝が、また、ん?何?って顔をした。
俺は慌てて何でもないと告げた。

「…今、私達、三年だけど、さっきみたいにするかっていったらしない気がする。そんな事してどうなるの。だって普通つき合ってる人にそんな……しないよね。…おかしいよ」

いや、だから、そこは、相手が自分じゃないっていう、悔しさ?嫉妬?とかなんだろ?人が楽しそうにしてる事に何ていうかフンって思うやつだよ。

朝が不意に首を振った。風で顔に髪がかかったからだろう。いつもの、俺の好きなシャンプーの香りがした。

「朝、帰り…」

「何?」

「一緒に帰ろう」

そうだ、そうしよう。そう思ったらもう言っていた。

「えっ!?」

「あ、なんだよ。そんな驚く事かよ…。あいつとはいつも帰ってないだろ?」

「うんそうだけど。だけど、うち、貴浩君ちとは反対…」

「そうでもだからだ」

……変だ俺。必死?普通ならあいつと帰れよって言った方が普通じゃん…。

「…フ。まあ、いいよ?貴浩君がいいなら」

「俺はいいんだ。今日は不安じゃん、だからだよ」

このままだと俺が不安なんだな。

「うん、大丈夫だけどありがと。じゃあ、帰ろ?」

「ん」
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