幼馴染は恋をする
・関係は近く
「あの……あぁ、居た」

ん?イケメン野郎だ。朝は…居ない。その視線、俺か?…何か用か。

「あの、ちょっと」

…何だよ。

「いいですか?」

生意気に…。クイクイッて親指で廊下をさした。…は?


黙って出た。

「何でですか」

んー、いきなり、何に対して何でですかなんかな~?

「朝ちゃんと一緒に帰ってますよね」

「あー、帰ってる」

早速来たか。俺には反応早いのな…知らないのか?朝がネチネチ虐められてること。
朝の事…朝ちゃんて、呼んでんだ。

「俺とつき合ってるの知ってますよね」

フ……嫉妬か、…好きなんだな。当たり前か。

「知ってる。呼び出して連れ出した時、居たから。だからだ」

「?」

眉間に皺を寄せていた。

「……人気者は大変だな」

「誰がですか、朝ちゃんですか」

今言ってるのはオメエの事だよ。

「…知らないのか?」

「何ですか」

…どうしようか、俺から言ってもいいのか。だけどこの様子じゃ、朝が嫌な目にあってる事、知らなそうだし。……鈍いヤツ。いつまでも浮かれてんじゃねえぞ。知らないならいいよ。

「女子は恐いって事だ」

「は?」

ふ、……ん。

「帰りは一緒に帰ったりしてないんだろ?」

「……まあ」

方向が違うってやつかな。

「だったら別に、俺はそっちを無視して無理に帰ってる訳じゃない」

邪魔してる訳じゃない。

「理屈はそうだけど、……人の彼女と一緒に帰ったりしないでください」

おー、おー。…彼女ね。

「……友達だ。同級生だ、問題ないだろ」

「それでも嫌です」

は、言うね…。独占欲はあるんだな。

「だったらちゃんと守れ。朝のこと、見てんのか?…一人にさせんな。つき合ってるってなんだ…それだけで満足してんじゃないぞ…」

声も張らず、呟いてしまった。

「満足してないで、注意しろって事だ。俺と一緒に帰ってるのが気にくわないなら、お前が一緒に帰れ。一緒に帰らないなら、俺が帰る」

「はあ?」

「俺は馬鹿じゃないからな?何…さっきから訳解んない事ばっかり言ってんだって思ってるだろうけど。朝の事、よく見てたら意味は解る」

「あの、言ってる事、解りませんよ…」

解らないならいい。馬~鹿。返事、早過ぎなんだよ。

「あ、俺、リョータって言います」

…知るかよ。別に興味ないし。
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