幼馴染は恋をする
「貴浩君のはもうなくなってるから。食べた後は一口くらい飲んでスッキリしたいって、ならない?」
あー。
「はい、いいよ?」
「ん、まあ、な」
…。
「じゃあ、一口、もらう」
「うん」
て、吸う量って、どんくらいで一口なんだ…。向けられていたカップのストローを掴んだ。探りながら吸った。
ズーーー…。ズッ。ズッ!
「あっ」「あーっ!」
「何、今のズッって。もしかして飲みきった?えー…」
「わりぃ。だな?」
振ってみた。ハハ…空だ。
「だなって、もう…もう!私も一口要るー!」
「そんなの、加減が解んなかったから、ハハハ、無くなったもんは戻らない、ばああぁ」
口を開け舌を出して見せた。
「もういい……今度奢ってよ、違うラテ…」
「ハハハ、解ったよ。いいけど…小遣い減るっつうの」
「高校どうする?」
「は?高校の話か?俺は迷わずS工」
「…やっぱりそうなんだ」
知ってるだろうに。
「朝はN高の普通科だろ?」
「うん。…変えるつもりはないの?」
「俺か?」
「誰よ」
「ハハハ、やっぱ俺か。うん、変えるつもりはないよ。誠人も一緒だし。楽じゃん女子は少ないし。それってある意味、少数精鋭で、可愛い子の率、高いかも知れないだろ?」
「そういう目的?」
「あー?違うよ。そんな不純な動機では選ばない」
「そうだよね…」
「な、に…」
「何でもない。じゃあ、こんな風に制服で並んで歩けるのも卒業までってことだね。高校生になったら一緒に帰ることは無いんだから」
「あ、まあ、な。そうなるか」
急にどうした…。寂しいのか…?
「まだまだ、まだ卒業まではあるし。イケメン野郎と帰らないなら帰れるだろ?」
…。
「…その…イケメン野郎っていう言い方、止めて。そうだね。あ、ここまででいい。今日はここでいいから、じゃあね、バイバイ」
「あ、あ?お、おぉ、じゃあな?ホントにいいのか?」
急にどうした。
「うん」
「あ、気ーつけろよ?変なおっさんとかに」
「な゙、何それ。うん」
「例えばだよ」
「うん、フフ、大丈夫だよ」
何だ…?突然……情緒不安定な、…日か?…ぁあ??
あのラテ、よっぽど好きだったんだな、…悪いことしたか。だけど解んないもんは解んないだろ。…大体、朝だって、俺にくれた段階でほぼ飲んでたってことだろ?…くれようって気は解ったけど……。