幼馴染は恋をする
「なあ、見たか?」

「…何を」

「イケメン野郎」

「あいつがどうかしたのか」

「…」

「おい、何だよ、勿体つけんな」

「フ。あいつのこととなると、ていうか、朝ちゃんのことになるとそうなるよな」

「いいから、なんだよ」

「帰り、二年の子と二人で歩いてたぞ。まあ、どういう事情かは知らないけど…て、お~い」

…話は最後まで聞け。女の子とはまだ言ってないだろ。まあ、女の子、幼馴染の女の子とだけど。それって、お前らと同じってやつだろ…違うか。あっちは何でもない幼馴染同士、こっちは…本人達が鈍いお友達だ。このまんまじゃずっと、永遠同級生のままだ。


はぁ…はぁ。どこだ、…居た。

「…おい」

肩を掴んで引いた。

「おわっ、何ですか?」

「ちょっと、聞きたい事がある」

「何ですか?いきなり」

「…ちょっと、こっちに来い。
朝とは一緒に帰らないくせに、他に一緒に帰る子が居るのか」

教室の窓側に追い詰めた。

「え?ちょっと。…あぁ」

思い当たったのかよ。やっぱり…誠人が言った事は本当だったのかよ。

「それが何ですか?」

は、何ですか?ってか…。

「同じじゃないですか」

「は?」

「そっちだって一緒に帰ってる。俺にだって幼稚園からの幼馴染だっているんです。俺らは方向一緒なんで、偶に帰る事だってあります」

「幼馴染?」

「そうです。…何ですか、…すごい剣幕じゃないですか。あれですか?もしかして、俺ってシメられそうだったって事ですかね」

ちょっとしたにらみ合いだ。

「…違う。違うならいい。…別の子と帰るくらいなら、なんで朝と帰らないんだって、思っただけだ」

「そうなんですね。まあ、誤解です、そっちが思ってるような感情はないですから。…本人が気にしてない事なのに、フ、おかしくないですか?」

ぁあ?朝が気にしてない?

「おかしくない。心配して何が悪い」

「心配?それは余計なお世話です」

…。

「貴浩…あぁ……居た。戻ろうぜ、…おい…おい、貴浩」

…。

「ん」
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