幼馴染は恋をする
「早まんなって。聞けよ人の話。慌てて行くからだ」

「…ん」

「はぁ、だけど…まあ、どうなんだって思う気持ちは解るけど」

「ん」

「…おい。フ。イケメン野郎が言ってた通りだ。小っちゃい頃からの、幼馴染だって言ってただろ。偶に帰る事もあるだろうよ」

「ん」

「……はぁ、何が気に入らない?だったら朝ちゃんと一緒に帰れって、事なんだろ?」

「あいつは…」

「ん?」

「寂しくないのかな。解ってても、気は良くないだろ?なあ、そういうもんだろ?つき合ってんだから」

幼馴染だっていっても。…いくら方向が一緒でも。自分とは帰ったこと無いのにって、思うもんだろ?違うのか?

「ん、まあ。だけど割り切れてたら別に気にならないんじゃないのか?逆に、疑い過ぎるっていうのも信じてないのかってなるし」

「ああ、そうか…」

「そうだよ、そこんところはちゃんとイケメン野郎から聞いてるんだろ?知ってるよ何でもないって」

「何でもないって誰が解るんだよ」

「あ?また、話戻すのかよ」

「誰も…帰ってる二人をずっと見てる訳じゃない。イケメン野郎が何とも思ってなくても、相手はどんな気持ちでいるのか解んないだろ…」

「それは…はぁ。まんま、お前に返す。そうだとしたら、その子の気持ち、お前がよく解るんじゃないの?」

「は?なんで俺があいつの、幼馴染の女子の気持ちなんて」

「……はぁ、だから……馬鹿かよ。解るっつうの。お前の事は俺にはよく解るんだよ、……長い付き合いだろ」

「はあ?話、変わってるだろ。お前が俺の気持ち解ってどうなるんだ」

「…知らないよ、馬鹿。はぁぁ、…まあいいよ」

「何がいいんだ」

「もういいって。それより今日、朝ちゃん休んでるけど、なんでか知ってる?」

「…知らないよ」

「そうか、まあ、風邪とか体調不良とかかな」

「だから。…知らないよ」

「ふ~ん」
< 20 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop