幼馴染は恋をする
帰ってポストを見た。差し込み口からカラフルな紙がはみ出ていたからだ。チラシだ。だから目に入った。よく入れられてる、今日もごっそりとありそうだっだ。掴んで捨ててやろうと思った。手が入るなら開けないで何とかならないかと思った。掴んでみたが纏まりがなく上手く全部を掴めなかったから諦めた。結局開けるはめになった。最初からこうしておけってことだ。
ダイヤルを回して引くとガツンと音がして開かなかった。ぁあ?…数字…記憶間違いだったか?こうなるともう面倒臭い。開けるのは止めようか。…あ、…そうだ、なんだ反対だった。アルファベットが先で…数字が後だったな。…酔ってるのか俺って。それともやったつもりで、一回忘れたか?もう一度試みた。
ゴリゴリ回して、回して、よし、反対に…。引いた、…開いた。開いたじゃないか。
パラパラとチラシを確認して一気に掴んだら、しっかりと厚みのあるものがある事が解った。紛れてたんだな。危ない、よく見ずにうっかり処分してしまうところだった。
結局だ。チラシを丁寧に順番に見るはめになった。下のゴミ捨て用に置いてくれている箱に落としていったらそれが残った。
普段、郵便物はほとんどない。封筒なんて珍しい事だ。俺宛の名前だけが書かれた白い封筒だった。普段滅多に目にしないかしこまったやつだ。それも、ある一定の年数、妙に集中的に見る、そんな特殊な物だ。こんな物が……とうとう来たか。
配達じゃない、持って来て入れたんだ。住所がない、消印もなかった。……返してみた。
…差出人。連名だ。住所と名前が二人分あった。
…知らないな、…誰だ、この男、親父の名前だろ?…。はあぁ。…名字だけなら知ってる、どっちもな。

俺はそれを持って部屋に上がったんだ。
鍵を開けて部屋に入り、靴を脱ぐために下駄箱に手をついた。で、そこに置いた。そのままだ。それからずっと置きっ放しにしたんだ。

それからだって、毎日…ほぼ毎日、部屋を出入りする度、その存在を見続けたんだ。
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